非アルコール性脂肪肝炎(NASH:ナッシュ)

新しい生活習慣病

 脂肪肝の中には、お酒を飲まないのに肝硬変,肝癌へと進行する非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が存在することが知られ、新しい生活習慣病として注目されています
NASHは1980年にLudwigという先生が初めて提唱しましたが、90年代の後半頃ようやく新しい疾患概念として確立しました。それ以前は、脂肪肝は可逆性の疾患であり、予後は良いと考えられていました。
 しかしNASHの場合、約10年の経過で20%の症例が肝硬変に移行するとされ、またその後10~20%に肝癌が併発するとされています。
食生活が欧米化した今日では、肥満, 糖尿病, 高脂血症,脂肪肝といった生活習慣病が増加しており、それに伴ってNASHも増加しています。そして現在、成人の0.5~1%程度がNASHに罹患していると推定されています。
 NASHは脂肪肝を基盤とし、酸化ストレスなどの障害因子が加わり、発症すると考えられています。
またメタボリック症候群を合併することが多く、その関連性が注目されています。
 NASHの治療の基本は、食事療法、運動療法で肝臓内の脂肪や内臓脂肪を減少させることですが、加えて糖尿病治療薬(インスリン抵抗性改善薬)や、高脂血症治療薬などの薬物療法が試みられています。

H19/12 朝日サリー掲載