胆のう癌
最悪は食道腺ガンになる恐れも…
胆のうは右上腹部に位置し、肝臓と十二指腸をつなぐ胆管の途中にある袋状の臓器です。胆のうには、肝臓から分泌された胆汁が貯まり、食後に胆のうが縮むことによって胆管を通って十二指腸に胆汁が流れ、消化の役割を担っています。
胆のうがんは、我が国の全悪性腫瘍の約2%ほどで、女性に頻度が高く(男性の1.5 ~2倍)、60歳代に最も多くみられます。また胆のうがんに関係が深い疾患として胆石症と膵胆管合流異常症があります。
1)胆石症:胆のうがんの症例では半数以上で胆石を合併しており、また胆石症においては胆のうがんの発生率が1~5%といわれています。慢性炎症や胆汁成分の変化が、がんの発生の原因と考えられています。
2)膵胆管合流異常症:胆管の先天的な異常です。本来小腸へ流れるはずの膵液が、胆のうに逆流することが癌化に関与すると考えられています。
胆のうがんの症状には、腹痛(上腹部、特に右側)や黄疸や腹部腫瘤などがありますが、早期がんでは多くは無症状です。
胆のうがんの治療の基本は手術療法です。その他の治療としては、化学療法や黄疸軽減のためのPTCDやERBDといったドレナージ療法、薬剤による疼痛コントロールなどが行われます。
胆のうがんの治療成績は、がん組織が胆のうの中にとどまり、リンパ節や周囲の肝臓や胆管への浸潤がない早期がんでは、切除後5年生存率は90%以上と良好です。しかし進行がんになると5年生存率は50%以下になり、成績は不良です。
朝日サリー 2018年6月号掲載