胃MALTリンパ腫

ピロリ菌と関連の深い病態

 胃悪性リンパ腫は、大半が粘膜関連リンパ組織:mucosa-associated lymphoid tissue (MALT)由来のリンパ腫であること。さらに「MALTから低悪性度リンパ腫が発生し,その後,高悪性度リンパ腫に進行する」ことが最近わかってきました。そのためMALT由来のリンパ腫をMALTリンパ腫と呼ぶようになりました。そして最近になって胃MALTリンパ腫は、胃十二指腸潰瘍・胃炎・胃癌と同様にピロリ菌と関連の深い病態であると考えられるようになりました。


●ピロリ菌(以下H.P)とリンパ腫との関連
 1993年、Wotherspoonらがピロリ菌除菌療法によりMALTリンパ腫が消退したと報告して以来、多くの研究がおこなわれ、現在ではH.P感染がMALTリンパ腫の成因と考えられています。


両者の関連を示唆する所見として、以下の報告があります。
1)胃悪性リンパ腫全体におけるH.P陽性率は、諸家の報告で70%から85%と高率である。
2)MALTリンパ腫のH.P除菌による縮小消退率は、83%~93%と高率である。さらに、除菌により一旦消退した胃MALTリンパ腫がH.Pの再感染により再燃したとの報告もある


 以前に当院でも胃MALTリンパ腫の1例を経験し、H.P除菌療法によりリンパ腫が消退がみられました。
 本疾患は胃癌等と比べて症例が少なく,まだ十分な検討ができていないのが現状ですが、H.Pの除菌を治療の第一選択として積極的に行うべきと考えられています。


H28/5月 朝日サリイ投稿