胆のうがん

全悪性腫瘍の約1.6%を占め、女性に多い病気



 胆のうは右上腹部に位置し、肝臓と十二指腸をつなぐ胆管の途中にある袋状の臓器です。
 胆のうがんは、我が国の全悪性腫瘍の約1.6%を占め、女性に多く(男性の1.5 ~2倍)、60才代に多くみられます。また胆のうがんに関係が深い疾患として胆石症と膵胆管合流異常症があります。


1)胆石症:胆のうがんの症例には40~70%の割合で胆石を合併しており、また胆石症においては胆のうがんの発生率が1~5%といわれています。慢性炎症や胆汁成分の変化が、がんの発生の原因と考えられています。


2)膵胆管合流異常症:胆管の先天的な異常です。本来小腸へ流れるはずの膵液が、胆のうに逆流することが癌化に関与すると考えられています。
 胆のうがんの症状には、腹痛(上腹部、特に右側)や黄疸や腹部腫瘤などがありますが、早期がんでは多くは無症状です。


 胆のうがんの治療の基本は手術療法です。その他の治療としては、化学療法や黄疸軽減のためのPTCDやERBDといったドレナージ療法、薬剤による疼痛コントロールなどが行われます。
 胆のうがんの治療成績は、がん組織が胆のうの中にとどまり、リンパ節や周囲の肝臓や胆管への浸潤がない早期がんでは、切除後5年生存率は90%以上と良好です。しかし進行がんになると5年生存率は50%以下になり、成績は不良です。
 診断は腹部超音波検査が基本で、胆のうがんが疑われた場合はCTやMRIによって病変の広がりを確認します。胆のうがんは症状が出にくく、早期の発見が難しいがんの一つです。40才を越えたら、年に一回は腹部超音波検査による検査を受けるように心がけましょう。また胆石症、胆のうポリープのある方は、かかりつけ医での定期的な経過観察を受けましょう。


 食中毒の発症が疑われた場合には、速やかに医療機関を受診しましょう。




H23/12 朝日サリー投稿