喫煙とガン

ニコチン依存症はガンを招く!?

 たばこはマヤ文化に起源を発し、コロンブスが1492年アメリカ大陸に到達した際にヨーロッパに持ち帰りました。その後大航海時代を背景として世界に広まっていきました。 しかし1950年代頃から喫煙は健康に悪影響を及ぼすとの警鐘がなされるようになり、世界保健機構(WHO)では1970年以降、禁煙の推進を健康政策の最重要課題とし、禁煙化は今や世界的な傾向となっています。


 日本人の喫煙率は全体としてみれば1970年以降低下し続けています。しかし欧米の水準からは程遠く、まだまだ喫煙者が多いのが現状です。特に女性の喫煙率の低下は鈍く、その中でも若年女性における喫煙率増加は大きな問題となっています。


 現在、タバコには多くの発癌物質や有害物質が含まれることが明らかにされています。
厚生労働省のデータによると、喫煙者は非喫煙者に比べて肺がんで死亡するリスクが男性で4.45倍、女性で2.3倍。喉頭がんの場合は男性ではリスクが32.5倍にもなります。
このように呼吸器系(肺がん、喉頭がん)だけでなく、消化器系(口腔・咽頭がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、すい臓がん)、泌尿器系(膀胱がん)、子宮頸がんなど、喫煙により全身の様々ながんにかかるリスクが高まります。
 一方、禁煙すると、こうしたがんのリスクを確実に低くすることができます。肺がんの場合、禁煙して4~5年で死亡のリスクは喫煙者の半分程度となり、禁煙後の年数が経つほど更に低くなります。


 今やタバコは「煙たい存在」になってきています。国内、海外を問わず、職場や公共施設など様々な場所において喫煙が禁止されています。


 タバコがやめられないのは精神的及び身体的な「ニコチン依存症」によるものですが、日本人の成人喫煙者の約2,600万人のうちの約7割が「ニコチン依存症」と推定されています。


 「ニコチン依存症」は病気の1つであり、本人の意思だけでは禁煙はむずかし場合が多いのが現実です。禁煙できない人は「禁煙外来」を行っている当院を受診してみませんか。

H20/6 朝日サリー掲載